四日市を描いた浮世絵は、私の知るかぎりでも40点余りある。その中でも、最も知られているのが、広重の東海道五十三次四日市「風の四日市」である。
 描いた場所は諸説があるが、「東海道分間延絵図」を見ると、東海道沿いの町からかなり離れた湊の先端にそれらしい橋が描かれている。大きく揺れる柳の木、川原の葦、笠を追う人は転げんばかりで、強風に吹かれる光景がリアルに表現されている。上左は「風の四日市」を模倣し、得意の美人画と組み合わせた豊国の絵。右は、そのあたりをそぞろ歩く男女。下は、東海道五十三次・雨の四日市(作者不明)

四日市の浮世絵には、那古の浦(霞ヶ浦あたり?)の蜃気楼がよく描かれている。蜃気楼は春から夏の晴れた日に見られ、南から北へ移動しながら消滅するところから、伊勢大神宮が熱田神宮に遊幸されるのだと信じられ、「那古の渡り」といわれていた。
 上2枚と下左は、いずれも女人と蜃気楼の組み合わせで描かれているが、上左は風景が広重、人物が豊国という珍しい合作。
 下右は、那古の浦で休息する武士の一行…望遠鏡で蜃気楼を眺めている。これも広重の絵。

風の四日市

那古の浦の蜃気楼